Escapism

現実逃避の記録

【絵本】こんとあき

この記事は絵本 Advent Calendar 2019 - Adventarの16日目の記事です。今回の絵本は『こんとあき』。

こんとあき (日本傑作絵本シリーズ)

こんとあき (日本傑作絵本シリーズ)

  • 作者:林 明子
  • 出版社/メーカー: 福音館書店
  • 発売日: 1989/06/30
  • メディア: 大型本

この絵本は確か実家にあったと記憶していて、背表紙の「こんとあき」の「と」の部分が赤色なので消えてしまっていたという(どうでもいい)ことだけ覚えています。

こんは、あきを見守ることを自らの使命としているキツネのぬいぐるみで、あきが生まれる前におばあちゃんによりつくられた。こんは幼い子どもに与えられるぬいぐるみが一般的にそうなってしまうように、あきの成長と共に体のあらゆる場所にダメージを受け、とうとう腕がほころびてしまう。こんを治してもらうためにおばあちゃんのところまで2人だけで旅をするお話。

こんなに絵のうますぎる絵本があるか?というぐらい画力が高いです。絵のうまさといっても色々あるので説明が難しいのですが、実物から絵にするときの再現度が高いといえばいいのか…。電車の場面とかも風景画のようなんですよね。

それもあってか最初に読んだときは物語にうまく入り込めない感じがしました。絵がリアルすぎて物語を読むためのモードに切り替えができてなかったのか、こんの存在を周りの大人がすんなり受け入れていることに違和感を覚えました。もういちど読み直したときには気にならなくなっていたのですが。自分が子どものように純粋な気持ちで読めなくなってしまったという証拠なのかも。

こんは姿に似合わずしっかりしていて、いつのまにか切符を手配してるし、どこで弁当を買えばいいか、どれくらい乗ればいいか等の事情もすべてわかっている。なんか、まるで大人みたい…

でも体がぬいぐるみなのでどうしてもうまく物事が進まなかったりする。あきはどこにでもいるような幼い子なのでできることは限られている。読んでいるこっちがハラハラする…。こんは「だいじょうぶ、だいじょうぶ」とあきを安心させようとするけど、だんだんその声も小さくなっていき、まともに受け応えもできなくなり、逆に不安をあおる。まさに冒険だなあと。

これはこれで現実世界を優しい形に切り取ったという見方もできるのかなと思ったり。ぜひまっすぐな心で読んでほしい一冊。私も久々に特急とかに乗って旅に出たくなりました。